自伝のような記録2 ダビデ像
大不倫の末一緒になったけれど、
彼はあまり恋愛体質な人ではない。
よく私とあんなに大恋愛できたな。素質はあるんだろう。
ただ、若い頃、厄介な女の子に好かれてしまい
身うごき取りにくくなった苦い思い出があって
「どうか俺を好きにならないでくれ」と念じる癖がついてるらしい。
私の金の粉とは真逆な発想。真のモテとはこういうことか?
顔もからだ(50を迎える今もダビデ像のよう)も大好きだが、
2人で話をするのは私の素晴らしい趣味になった。
知的に満足できる相手と暮らすと
毎日が修学旅行の夜(みたいに話が尽きない)と誰かが言ってた。
本当にその通りだと思う。
外食好きな私を諫めて、家にとどまらせるために
彼は料理を始めてくれた。
味噌汁にダシを入れることも知らなかったのに
今では1人で前菜から用意してくれる。
お気に入りの常連客のようにもてなしてくれるので
ワインバルのマスターといちゃつくごっこも可能な日々だ。
そんな夜を過ごすたびに
こんなに恵まれたオンナ、いまこの瞬間、
東京に何人いるかな、と思うのだった。
こんなにsmartでsexyでsweetな喋るダビデ像に
お返しできるものがなにもない。
容姿もだいぶ衰えた。
私はミケランジェロの作品じゃない。
彼は私を喜ばせ、私は彼を困らせ、笑わせる。
私のギフトの方が一つ多いみたい。